Program for EU-Japanology Education and Research(PEJER)
メンバー紹介
 
研究紹介
 
  国際化やグローバル化が進み、異文化と接触する機会が増えると、頻繁に文化摩擦や対立が生じます。そのつど自文化への省察や異文化に対するスタンスが問われる時代になってきました。今回のEU日本学のプログラムは、EUの内実を理解し、日本とEUとのかかわり方を検証することを目的にしています。本プログラムから多様な研究のアプローチが考えられますが、その一例として、ヨーロッパ史とEUの関係について指摘しておきましょう。
ヨーロッパは過去の2度にわたる世界大戦の反省を踏まえ、EUという超国家プロジェクトを推進してきました。しかしEUのプロトタイプは、ハプスブルク家の神聖ローマ帝国に見て取ることができます。すでに中世から近世において、神聖ローマ帝国は民族、国、地域、宗教、言語の違いを越え、キリスト教をバックボーンにして、帝国を統合する寛容的な試みをおこないました。これらの歴史を踏まえながら、その延長線上にEUを位置づけてみると、EUの光と影がはっきりみえてくるのです。
 
 
 
講義内容
 
  EUには現在27カ国が参加し、人口4億9300万人を数え、GDPは日本の2倍にあたります。EUは、多文化共生や国家の枠を超えた人びとの連帯について、多くの示唆を与えてくれます。このプログラムでは、12名の担当者がヨーロッパの過去の歴史において、また現代のEUのなかで生起してきた諸問題、さらに日本とのかかわりを取り上げています。とくに両者の比較文化研究は、EUと日本のあり方を考える格好の機会になるでしょう。
 
 
 
メッセージ
 
  世界においては、テロの頻発、イラク戦争、パレスティナ、アフガニスタン、パキスタン、スーダンの紛争などが解消されておりません。世界各地で多くの戦争、紛争、確執が続いていますが、このような20世紀から続く戦争、武力闘争は、憎悪とテロという復讐の連鎖を引き起こすだけです。
 EU域内では戦後60年以上、戦争は発生していません。それは政治的に対立してきたヨーロッパ各国が、共生の道をさぐってきたからにほかなりません。このような平和主義に注目し、その多文化共生を学んでみませんか。
 
 
 
 
大学院教育改革支援プログラム 関西大学EU―日本学教育研究プログラム