AGxKANSAI 2022 Art and Philosophy in the 22nd Century After ARAKAWA+GINS

会期: 2022年3月11 - 15日 会場: 京都芸術大学(対面+オンライン)

対談(対面)2(J/E)
『建築する身体』をめぐって

河本英夫(哲学、東洋大学)
三村尚彦(哲学、関西大学)
*対面、日英通訳つき

河本英夫「分岐する言語と建築」
知覚は、身体態勢依存し、感覚は身体と不可分である。各人の感覚知覚や能力の形成においては、身体とその運動に働きかけることが、重要な課題となる。こうした課題の遂行に有効な場所を提供するのが建築である。そのとき建築は、広義の身体としても機能する。そうした方向で設計されたものが、「天命反転住宅」である。
人間の身体が、言語の語られる環境内で形成される以上、身体と言語の間には、なんらかのつながりがある。そのつながりを、「緩やかなカップリング」と呼んでおく。言語的表現の課題は、建築をイメージとして支えるところにある。これは、建築の取り扱い説明書でもなければ、理由付けでもない。むしろ言語的表現は、建築に対して分散的注意を促すように、それじたいで分散的なイメージを作り上げることである。
荒川の設計の基本は、身体行為的幾何学である。ギンズの構想の基本は、オートポイエーシスである。

[参考資料]*3/12更新
The Mystery of Ryoanji in Nagi
Chaos, Autopoiesis and/or Leonardo da Vinci/Arakawa
講演スライド:「建築と言語」

略歴:東洋大学教授、科学論、システム論を専攻する。精神医学、芸術学も手掛ける。主要論文に "The Mystery of Nagi's Ryoanji : Arakawa and Gins and Autopoiesis," In :Interfaces Université Paris 7 –Denis Diderot, 21/22, 2004, 5, 85-102;"Chaos, Autopoiesis and/or Leonardo da Vinci/Arakawa," Eco-Philosophy, Vol.6 (TIEPH)2012,3,85-89.

三村尚彦「平板化あるいは拡張?──『建築する身体』を読むことの可能性」
発表者は、現在荒川+ギンズの著書Architectural Bodyの日本語翻訳に取り組んでいる。予定では、すでに公刊されていなければならないのだが、作業は大幅に遅れている。わたしはなんとかそれを今年中に出版したいと思っている。
しかし、Architectural Bodyの日本語訳は、すでに2004年に、今回の対談相手である河本教授によって出版されている。わたしはなぜ新しい翻訳作業に取り組んでいるのだろうか。もちろん異なる読解と解釈を提示するためである。このプレゼンテーションでは、後発の翻訳プロジェクトによるArchitectural Bodyの解釈が、どのような意義をもっているかを問いたい。あらかじめ結論を述べておくならば、わたしの解釈は、荒川+ギンズの思想を平板化するようなものであるが、だからこそ拡張の可能性をもつと主張したい。そして河本教授や参加者と荒川+ギンズの思想を理解することの可能性について議論したいと思う。

略歴:関西大学教授(哲学・倫理学)。フッサール現象学の心身問題を中心に、特にフォーカシング指向心理療法の創始者ユージン・ジェンドリンの「体験過程理論」や「プロセス・モデル」に関心を持つ。現在は、日本学術振興会の助成を受け、荒川とギンズのアーカイヴ研究のために「建築する身体」の研究プログラムを推進している。

Current Local Time in Japan (GMT+0900)