概念・専門用語集

概念・専門用語集一覧

1.国際教育協力

我が国が自らの生存と繁我が国が自らの生存と繁栄を維持していくためには、国際社会との相互依存、国際秩序の形成・強化への貢献、アジアなど開発途上国との共生が必要不可欠である。
国際教育協力は、これらの諸課題に対する我が国の取り組みとして、以下に示すとおり、我が国及び開発途上国の双方に対する観点から大きな意義を有していると考えられる。国際教育協力のもう一つの特徴は、以下のとおり、開発途上国において教育協力に携った教員を媒介としながら、国際化のための素養を児童・生徒に波及的に広め、相互依存がますます高まる国際社会に対応できる日本人の形成に資するという点にある。

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2.異文化理解

異文化理解とは、自分と異なる考えや価値観を受け入れること。それは容易いことではありません。同じ国に生まれる、同じ言葉を話す、同じ地域で育つ、同世代である、同じ性別であるなど、相手に共通項があるほど、無意識のうちに相手も自分と同じような考え方をすることを期待しがちです。そして、その期待が裏切られた時には「なぜ?」「どうして?」と疑問を持ち、時にはその人を知ろうと努力をすることなしに自然に距離をおいてしまうこともあるのではないでしょうか。

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3.国際理解教育

国際理解教育は、各教科、道徳、特別活動などのいずれを問わず推進されるべきものであり、この教育(国際理解教育)を実りのあるものにするためには、単に知識理解にとどめることなく、体験的な学習や課題学習などをふんだんに取り入れて、実践的な態度や資質、能力を育成していく必要がある。指導の在り方としては、国際理解教育が総合的な教育活動であることを踏まえて、総合的な学習の時間を活用した取組も考えられよう。

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4.多文化共生

総務省によると、多文化共生は、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義されている。

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5.国際交流

国際交流(こくさいこうりゅう)には、さまざまな次元のものがある。まず留学、企業単位や政府の招聘レベルでの技術研修、これは企業の枠内のものから、工業、農林水産業、医療看護などに至るまで活発に行われている。学者や文化人の招聘・派遣もある。

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6.国際関係

国際社会のなかで,国境を越えて取結ばれるあらゆる形態の社会的関係をさす。通常,個々の国際的関係をいうよりも,通時的あるいは共時的に一群となった国際的関係の網をさすことが多い。従来,そのような関係を形成する行為主体としてほとんど独占的な位置を占めたのは国民国家であった。しかし今日では,そのほかに国家の枠を越える国際組織や地域共同体,あるいは多国籍企業,国家の枠内にある地方自治体や民間団体,さらには私的な個人までが国際関係の行為主体として活動している。この点にこそ第1次世界大戦以来の現代国際関係の最大の特徴がある。行為主体の種類によって今日の国際関係を分ければ,政府間関係と非政府間関係もしくは民間関係があることになる。また行為の領域によって分類すれば,政治的関係,経済的関係,軍事的関係,法的関係,イデオロギー的関係,文化的関係など,さまざまな国際関係が存在する。このような国際関係の存在形態としては,(1) 万人が万人の敵であるような敵対関係,(2) 競争的関係,(3) 併存的関係,(4) 支配対被支配関係,(5) 協力的関係,(6) 相互依存的関係などのタイプが考えられる。今日の国際関係には,とりわけ相互依存的な関係が顕著になっているといわれる。

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7.国際教育

国際教育とは、国際化した社会において、地球的視野に立って、主体的に行動するために必要と考えられる態度・能力の基礎を育成するための教育であり、端的に言えば、国際化した社会を生きる人材を育てる教育である。そのねらいは、自己を確立し、他者を受容し共生しながら、発信し行動できる力を育成することにあり、国際理解教育の目指していたところと変わりはない。

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8.グローバル化

グローバル化とは、情報通信技術の進展、交通手段の発達による移動の容易化、市場の国際的な開放等により、人、物材、情報の国際的移動が活性化して、様々な分野で「国境」の意義があいまいになるとともに、各国が相互に依存し、他国や国際社会の動向を無視できなくなっている現象ととらえることができる。特に「知」はもともと容易に国境を越えるものであることから、グローバル化は教育と密接な関わりをもつ。さらに「国際化」はグローバル化に対応していく過程ととらえることができる。教育分野では、諸外国との教育交流、外国人材の受入れ、グローバル化に対応できる人材の養成などの形で、国際化が進展している。

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9.知識基盤社会

21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」(knowledge-based society)の時代であると言われている。「知識基盤社会」の特質としては、例えば、1.知識には国境がなく、グローバル化が一層進む、2.知識は日進月歩であり、競争と技術革新が絶え間無く生まれる、3.知識の進展は旧来のパラダイムの転換を伴うことが多く、幅広い知識と柔軟な思考力に基づく判断が一層重要となる、4.性別や年齢を問わず参画することが促進される、等を挙げることができる。
 
こうした時代にあっては、物質的経済的側面と精神的文化的側面のバランスのとれた個々人の人間性を追求していくことが、社会を構築していく上でも基調となる。また、国内・国際社会ともに一層流動的で複雑化した先行き不透明な時代を迎える中、相互の信頼と共生を支える基盤として、他者の歴史・文化・宗教・風俗習慣等を理解・尊重し、他者と高等教育の役割は、人格の形成、能力の開発、知識の伝授、知的生産活動、文明の継承など、非常に幅広いものである。高等教育は、初等中等教育の改革の動向とも相まって、中等教育後の様々な学習機会の中にあってその柱となり、社会を先導していくものである。
 
知識基盤社会においては、新たな知の創造・継承・活用が社会の発展の基盤となる。そのため、特に高等教育における教育機能を充実し、先見性・創造性・独創性に富み卓越した指導的人材を幅広い様々な分野で養成・確保することが重要である。
 
また、活力ある社会が持続的に発展していくためには、専攻分野についての専門性を有するだけでなく、幅広い教養を身に付け、高い公共性・倫理性を保持しつつ、時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、あるいは社会を改善していく資質を有する人材、即ち「21世紀型市民」を多数育成していかねばならない。
 
これからの「知識基盤社会」においては、高等教育を含めた教育は、個人の人格の形成の上でも社会・経済・文化の発展・振興や国際競争力の確保等の国家戦略の上でも、極めて重要である。国際競争が激化する今後の社会では、国の高等教育システムないし高等教育政策そのものの総合力が問われることとなる。国は、高等教育の経済的基盤の充実に努めるなど、将来にわたって高等教育につき責任を負うべきである。また、個々の高等教育機関や学生・企業等の関係者も、十分な自覚を持ってこれからの時代に立ち向かう努力と気構えが必要であることは言うまでもない。

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10.比較教育学

比較教育学は、世界各国の教育制度、教育行政や教育方法の比較検討をしながら、それらを自国の教育改革の益としようとする教育学の一部門である。具体的には、青少年の文化や教科書、教科書では同一の歴史的事件の解釈がその当事国でも加害者、被害者側になった国により、説明の仕方が異なったりといったものも、この比較教育学で扱うことがある。
また留学体験や異文化の中で育ち、なお自分自身のネイティヴな文化を持ち続けること、あるいは多様な文化の中で、自己の能力を発揮できる人間を育てていくための条件など、さまざまなテーマが考えられる。

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11.内なる国際化

内なる国際化は、何よりも国際化の進行によってもたらされた“人”の多様化であろう。つまり、高等教育では留学生の問題、学校教育においては、日本企業の海外進出による海外・帰国子女の増加。さらには、国際的な人の移動に関連して、従来から日本社会に定住している在日韓国・朝鮮人などのオールドカマーと呼ばれる外国人に加え、1970年代末、1980年代あたりから外国人労働者などのニューカマーと呼ばれる外国人が増え、その滞在の長期化や定住化(駒井編 1995)が指摘されてきた。外国人人口が増加かつ多様化する中で、教育においても、日本社会の人的多様化、つまり、“人”の「内なる国際化」への意識が高まってきたのである(元木1995)。

僚子, 恒. (2005). 国際化と教育--「内なる国際化」の視点と日本の教育. 家計経済研究 = Japanese Journal of Research on Household Economics, (67), 40-48.


 

12.多文化主義

異なる民族(エスニック集団を含む)の文化を等しく尊重し、異なる民族の共存を積極的に図っていこうとする思想、運動、政策。ここでいう文化とは高尚な芸術だけをさすのではなく、人々の生活の様式全体をさしている。それは言語、文字、宗教、教育、育児、祭り、食習慣、着物、家屋、行儀、風習などに及ぶ。
同じ地域や領土にさまざまな民族の人々が生きていることは、世界中でごく普通のことである。これらの人々の間では、言語、文字、宗教、祭り、生活風習などが異なり、日常的な多少の争いはあるものの、ともに平和に暮らしている。その一般的方法はお互いの生活様式に干渉しないことや、地域的に棲(す)みわけることである。あるいは、支配的民族がほかの少数民族を同化することも、少数民族が分離独立することも一つの方法ではある。

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13.グローバル人材

グローバル化が進展している世界の中で、主体的に物事を考え、多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、相手の立場に立って互いを理解し、更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことができる人材。

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14.持続可能な開発目標(SDGs)

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

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15.持続可能な開発目標(SDGs)の目標 4 . すへての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

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16.地球市民教育

地球市民教育(GCED:global citizenship education)は、より平和的、包括的で安全な、持続可能な世界の実現のために、理論学習と経験の両方を通して、以下のような力を育むことを目標としています。

  • 文化、性別、信条などの違いを尊重する
  • 身近なことだけでなく世界の動きに関心を寄せる
  • グローバル・コミュニティの一員であるという意識をもつ
  • 持続可能な世界の構築に貢献する
  • 地道な活動が、社会にどのような影響を与えているかを意識する
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17.参加型学習

参加型学習は、従来の講義のような一方向の知識伝達型の学習ではなく、学習者が学習過程に参加することを促すよ.うな学習形態を指す。この形態の学習においては、学習プロセスにおいて知識よりも体験を重視することから、参加体験型学習という用語が用いられる場合もある。
 
開発教育など地球的課題を扱う教育からは、参加型学習は単にひとつの授業や講座の中だけで学習者の参加を促す学習としてのみではなくて、学習者の社会参加をねらいとした学習として捉えられてきた。この場合の参加型学習は、学習者が現在または将来において社会の課題に気づきそれを理解し、その解決に向けて参加していく態度や技能を養うための学習活動として説明される。

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18.開発教育

開発教育とは共に生きることのできる公正で持続可能な地球社会づくりに参加するための教育。豊かさは、誰にでも公平にいき届いているわけではありません。 商業的な利益や経済的な効率ばかりを優先する社会のあり方は、弱い立場に追いやられる人々を生み、現在と未来の全ての命にとって大切な地球環境を破壊してきました。 そうした社会の中で私たち自身もいつしか豊かさの意味を見失いつつあるようです。
世界でおこっている貧困・飢餓、紛争・戦争、環境破壊、人権侵害といった問題は、日本の社会のあり方や私たちのライフスタイルとも深く関係しています。また日本にも同様の問題が存在しています。文化・民族・宗教などを異にする世界の人々がともに生きることのできる公正な社会をつくっていくことが、これからの大きな課題ではないでしょうか。そのためには、私たちひとりひとりが、こうした問題をよく知り、自分の問題として考え、その解決に向けて行動していくことが必要です。
開発教育は、私たちひとりひとりが、開発をめぐるさまざまな問題を理解し、望ましい開発のあり方を考え、共に生きることのできる公正で持続可能な地球社会づくりに参加することをねらいとした教育活動です。

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19.持続可能な開発のための教育(ESD)

ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。
今、世界には気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等人類の開発活動に起因する様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動です。
つまり、ESDは持続可能な社会の創り手を育む教育です。

  • どのように学ぶのか
    「主体的・対話的で深い学び」の視点から、不断の学習・指導方法を改善することが重要です。問題解決的な学習を適切に位置付けるなど、探究的な学習過程を重視し、学習者を中心とした主体的な学びの機会を充実し、体験や活動を取り入れるだけでなく、学習過程のどの部分にどのように位置付けたら効果的かを十分に吟味します。グループ活動を取り入れ、話し合い、協力して調査やまとめ、発表を行い、協同的な学びとします。
  • 何ができるようになるのか
    知識・理解に留まらず、学びを活かし、様々な問題を「自分の問題」として行動する「実践する力の育成」を目指します。また、「持続可能な社会の構築」という観点を意識することにより、児童・生徒の価値観の変容を引き出すことができます。
  • どのように取り組むのか
    ESDを効果的に推進するためには、ESDの実施を学校経営方針に位置付け、校内組織を整備して学校全体として組織的に取り組むこと、ESDを適切に指導計画に位置付けること、地域や大学・企業との連携の視点を取り入れること、児童・生徒による発信と学習成果の振り返りを適切に行うことなどが重要です。
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20.グローバル教育

グローバル教育は、言語の習得だけでなく、自分の国や地域の伝統や文化についての理解を深め、人権、平和、異文化などのテーマを世界規模でものごとを考える力を身につけるための教育です。
国と国とを超えた交流が当たり前になった現代、自分と異なる価値観や文化的背景、歴史をもつ人々との交流・共存がいっそう活発になっています。2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)のように、自分とは全く異なる考え方を持つ人々と一緒に、共通の課題に対して世界規模で協力して解決することも求められています。このように多様な価値観が交差する時代を生き抜くためには、「自分の価値観を理解しつつ、相手の価値観も受け止める」グローバル教育がますます重要視されることでしょう。

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21.多様性

「多様性」は、人種・言語以外にも、考え方・観点・経験、仕事のレベル・スキル、ジェンダー・信仰・年齢・身体的能力といったものも含まれるとされる定義が広がっています。また「多様性」を語る時には、差異や違いを互いに理解し尊重することが大事なことだと価値づけられています。
 
日本で2020年から漸次施行されている新学習指導要領では、一人ひとりの「生きる力」を育むことに重点が置かれています。またその中で特に強調されるのが、多様性への理解や主体性(Sense of Agency)、問題解決能力の育成です。多様性に関しては、特に個々の児童を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」が推進されています。
 
このブログでは、「多様性」を語るときに知っておきたいこと、多様性を活用する学校や企業、多様性の理解に役立つツールや組織・研究成果などについて深掘っていきます。

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22.多文化教育

多文化教育(英語:Multicultural Education)とは、あらゆる社会階級、人種、文化、ジェンダー集団出身の生徒たちが、平等な学習機会をもてるように学校や他の教育機関をつくり変えるための「教育改革運動」であり、同時に、すべての生徒がより民主的な価値観、信念、また文化を超えて機能するために必要な知識、スキル、態度を育てられるように支援するための「教育実践」である。共通する部分の少なくないグローバル教育が地球規模の視点からよりミクロな文化、そして自分自身を考えていくのに対して、自分自身から出発してよりマクロな文化、世界へと視点が移動するのが多文化教育である。日本において多文化教育という用語は、研究の世界では使用されることもあるが、実践の世界においては稀である。

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23.トランス・ナショナル

トランス・ナショナルとは、「国家(national)間の枠を超えた(tans-)」という意味です。
 
この場合の国家とは、国民国家(nation state)つまり、国民があつまって国家という政体を作り上げ、それを国民が運営することを原則としてなりたっている国家概念を前提にして考えています。
 
したがって、国家の枠を超える現象とは、文字通り一方の極には、(1)物理的に国境を越える人や物があるという即物的な現象としてあり、他の極には(2)そこから導き出される様々な社会現象――経済のグローバル化や移民の社会問題などがその例でしょう――と、(3)社会現象が現代社会にもたらすさまざまな文化的影響、など、きわめて広範囲にわたる社会現象がみられます。
 
したがって、トランスナショナリティ研究とは、国境をまたぐ移動民(おもに労働移民と難民が含まれるが、国際的に移動する人類学者も同様)のあり方を考える学問領域のことをさします。
 
文化人類学者は、これらの多様な現象を、経済や政治のような一般化される事象や法則などを押さえ つつも、トランスナショナルな現象にまつわる個々の事例について、細心の注意をもって観察、考察することが要求されています。

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24.能動学習(アクティブ・ラーニング)

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称としており、主に大学の大教室で行われている一斉講義の質的転換を図るためのものでした。 狙いとしては「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」とし、具体的な学び方も、発見学習や問題解決学習、体験学習、調査学習から、グループディスカッション、ディベート、グループワーク等があげられています。 要は、教員による一方通行型の授業ではなく、学修者が主体となって関わり学べる一教授・学習法をアクティブ・ラーニングとしているのです。

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25.フィールドワーク

フィールドワークとは、参与観察と呼ばれる手法を使った調査を代表とするような、調べようとする出来事が起きているその「現場」(=フィールド)に身をおいて調査をおこなう時の作業(=ワーク)一般を指すと考えていいでしょう。
 
フィールドワークの目的は、現場で得られる情報・データ収集が主になります。未発見・未確認の物事を詳細に観察し、大学の研究者などのフィールド外の人々に情報・データを持ち帰ることが目標です。
 
さらに、対象が人間である場合は、「インフォーマント」の生活の説明や解釈、意味づけ、実態について聞き取る作業が重要な目的になります。
 
また、教育上の目的で「フィールドに出て、事象を観察しなさい」という現場学習のために高校や大学で用いられることが、フィールドワークの目的となる場合があります。

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基本概念

26.異文化間能力 Intercultural Competence

国際教育において、達成を目指すべき主要な学習成果の一つ。異文化間能力については多くの学術的な研究の蓄積がある。一般的には、文化的背景の異なる他者と関わる状況において、目的の達成のために適切で効果的な振る舞いを行うための知識(knowledge)、スキル(skills)、態度(attitude)の集まりを指す。「知識」には、自分がどのように文化的に条件付けられているかの知識と意識、他文化の知識(他者がどのように文化的に条件付けられているか、また、同文化の価値観も含む)、他言語についての知識、他文化についての文脈的知識(歴史、文学、政治、経済など)が含まれる。「スキル」の代表的なものとしては、聴く/注意を向けること、注意深く観察すること、振り返ること/マインドフルネス、視点を変える(共感する)(perspective-taking/empathizing)こと、言語・非言語コミュニケーション、が挙げられる。そして「態度」には、開かれた心(open-mindedness)、好奇心、(他者への)尊敬、(異なる他者や理解できないことへの)寛容性、が含まれる。異文化間能力については学術的に様々な定義が提出されており、国際教育の分野においても必ずしも共通の理解がなされているわけではない。そのため、国際教育を通じて「異文化間能力」を育成したいという場合には、どのような意味でその言葉を使っているのかを(できる限り学術的な知見にもとづき)明確にいておくことが望まれる。

Deardorff, D.K. (2015) Intercultural Competence Definitions: Knowledge, Skills, Attitudes. In J. Bennett (Ed.), Sage Encyclopedia of Intercultural Competence (pp. 217-220) SAGE Publications, Inc.


 

27.国際共修 Intercultural Collaborative Learning

多様な言語・文化背景を持つ学生(国内学生と留学生)が、国内キャンパスの授業内外で、グループワークやプロジェクトなどでの協働学習を通じて学び合う学習形態を指す。通常、授業科目の一貫として実施される。大学国際化の流れにおいて、「内なる国際化」を促進するための効果的な教育アプローチの一つとして、日本では東北大学を中心に実践が積み重ねられている。なお、コロナ禍以前では、国際共修は国内キャンパスでの学習活動として、その実施場所という視点から特徴づけられていた。その意味で、例えば、国内学生と海外学生がオンラインでつながるバーチャル交流型の学習形態である、オンライン国際協働学習(Collaboratinve Online International Learning: COIL)とはある程度明確に区別されていた。しかし、COVID-19の影響下で国際教育のオンライン化が進行した現在、国際共修とCOILなどのバーチャル交流の区別が曖昧になりつつある。

東北大学 言語・文化を超えてともに学ぶ! 国際共修とは
 

28.オンライン国際協働学習 Collaborative Online International Learning (COIL)

オンライン(バーチャル)で国内外の教育機関に所属する学習者をつなぎ、一定期間、プロジェクトベースの協働学習を行うことで、学習者の専門的知識や能力のみならず、異文化間能力、チームワークスキル、ICTスキルなどを高めようとする学習形態を指す。COIL型の学習モデルはまずニューヨーク州立大学(SUNY)において2006年に開始されたように、高等教育で特に普及している教育手法であり、また、大学の国際化を促進するための有用なアプローチの一つである。日本においても、文部科学省が「平成30年度 大学の世界展開力強化事業~COIL型教育を活用した米国等との大学間交流形成支援~」としてCOILを促進する国家プロジェクトを実施しており、国内で2014年からCOILモデルを導入してきた関西大学がハブ大学として、COIL型学習の普及支援を行っている。COILは、インターネット環境と基本的なICT機器があればどのような学生であっても参加でき、参加にあたっての費用がほとんどかからないため、従来の留学と比べて、より公平な教育モデルとして注目されている。

池田佳子(2016).「バーチャル型国際教育は有効かー日本でCOILを遂行した場合―」『国際交流』vol. 67, 1-11. 関西大学 Institute for Innovative Global Education COILとは 日本学術振興会 2018年度 COIL型教育を活用した米国等との大学間交流形成支援
 
 
 

コンピテンシー

29.21世紀型スキル 21st Century Skills

ATC21s (Assessment and Teaching of 21st Century Skills) が定義した、21世紀の情報化時代、グローバル化社会において社会で活躍するために求められる能力群。OECDのキー・コンピテンシーと同様、教育分野で広く普及している能力概念である。2009年に世界中から250人もの研究者が集まり、プロジェクトが開始。4つの領域、合計10のスキルが同定されている。


➀思考の方法(Ways of thinking)

  • 創造力、イノベーション(Creativity and innovation)
  • 批判的思考、問題解決、意思決定(Critical thinking, problem-solving, decision-making)
  • 学びの学習、メタ認知(Leaning to Learn, metacognition)

➁活動/仕事のツール(Tools for working)

  • 情報リテラシー(Information literacy)
  • 情報通信技術に関するリテラシー(Information and communication technology literacy)

➂活動/仕事の方法(Ways of working)

  • コミュニケーション(Communication)
  • チームワーク(Collaboration)

➃社会生活(Ways of living in the world)

  • 地域と国際社会での市民性(Citizenship – local and global)
  • 人生とキャリア設計(Life and carrer)
  • 文化の認識や需要を含む、個人と社会の責任(Personal and social responsibility – including cultural awareness and competence)
ATC21s (Assessment and Teaching of 21st Century Skills)
 

30.キーコンピテンシー Key Competencies

OECDが主導し、多数の加盟国が参加したプロジェクト(1999年~2002にかけて行われた「能力の定義と選択」(DeSeCo)プロジェクト)で国際的に合意されたコンピテンシーを指す。グローバル化社会において、多様な背景を持つ他者と共存し、よりよい社会形成と個人の人生の充実に必要な能力である。従来の知識重視の学力(能力)観と異なり、知識を言葉や道具を用いて実際に行動や成果に活用できる力(コンピテンス)が意識されている。キー・コンピテンシーは以下のように大きく3つのカテゴリー、9つの能力に分かれている。


➀言語や知識、技術を相互作用的に活用する能力 (Using Tools Interactively)

  • 言語、シンボル、テクストを活用する能力(The ability to use language, symbols and text interactively)
  • 知識や情報を活用する能力(The ability to use knowledge and information interactively)
  • テクノロジーを活用する能力(The ability to use technology interactively)

➁多様な集団における人間関係形成能力(Interacting in Heterogeneous Groups)

  • 他人と円滑に人間関係を構築する能力(The ability to relate well to others)
  • 協調する能力(The ability to cooperate)
  • 利害の対立を御し、解決する能力(The ability to manage and resolve conflicts)

➂自律的に行動する能力(Acting Autonomously)

  • 大局的に行動する能力(The ability to act within the big picture)
  • 人生設計や個人の計画を作り実行する能力(The ability to form and conduct life plans and personal project)
  • 権利、利害、責任、限界、ニーズを表明する能力(The ability to assert rights, interests, limits and needs)
文部科学省 用語解説 「キーコンピテンシー」 松尾知明(2017).「21世紀に求められるコンピテンシーと国内外の教育課程改革」『国立教育政策研 究所紀要』第146集, pp.9-22
 
 
 

質保証

31.アジア太平洋大学交流機構 University Mobility in Asia and the Pacific(UMAP)

UMAPは、アジア太平洋地域における、高等教育機関間の学生・教職員交流の促進を目的として、オーストラリア政府の協力のもと、1991年に発足した、高等教育機関、政府及び非政府組織のパートナーからなる任意団体。1998年に、バンコクで開催された第6回総会にて、UMAP憲章(UMAP Constitution)が採択された。同憲章によれば、UMAPの目的は「アジア太平洋地域内の高等教育機関間の協力を推進するとともに、学生と教職員の交流を増やし、高等教育の質を高めることによって、域内諸国・諸地域の文化・経済・社会制度の理解をさらに深めること」と規定されている。UMAPというネットワークに参加するメリットに、個別の大学と協定を締結することなしに、アジア太平洋地域での学生交流が可能になる点が挙げられる。また、UMAP参加にあたっても各大学に経費負担は求められない。参加学生にとっても、授業料不徴収のもとで可能な留学先を拡大できる。なお、台湾、日本、カナダの参加学生には、UMAPの奨学金を受けられる機会も提供されている(カナダは2022年度から開始)。

University Mobility in Asia and the Pacific (UMAP)
 

32.国際バカロレア(IB)プログラム International Baccalaureate (IB) Program

本部スイスのジュネーブに置く、国際バカロレア機構が提供する国際的教育プログラム。修了生は国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を得ることができる。その教育においては、探求や概念理解に基盤が置かれるなど特色ある指導が行われる。なお、このプログラムのうち、16-19歳対象のディプロマ・プログラムを修了した、国際バカロレア資格を有する者には、日本の大学への入学資格が認められている。2021年12月31日時点で、世界159以上の国・地域において約5,400校のIB認定校があり、日本国内には175校の IB認定校が存在する。

文部科学省IB教育推進コンソーシアム
 

33.単位互換 Credit Transfer

学生が所属大学以外で履修した授業科目について修得した単位を、所属大学における授業科目の履修によって修得したものとみなす制度。留学などで学生が外国の高等教育機関で修得した単位の場合についても当てはまる。大学設置基準等によれば、大学では 60単、大学院では 15単位が上限として認められている。国際教育においては、国・地域によって単位制度は異なるため、国際的な単位互換制度の構築が重要である。例えば欧州には欧州単位互換制度(ECTS)があり、アジアでも同様に、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)によるUMAP単位互換方式(UCTS)がある。これらの単位制度では、1単位は学習量によって明確に定義されており、例えば1 UCTSは、38~48時間の学習時間数(内13~16時間の授業時間を含む)として定義される。さらにこれらの単位互換制度同士の換算表も作成されているため、例えば、1 UCTSは1.5 ECTSに相当するとされる。このように、国際的な単位互換制度を積極的に利用することで、透明性があり、公平な単位互換が実現可能となる。

UMAP交換留学プログラムおよび UMAP単位互換方式(UCTS)利用者ガイド
 

34.高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約(東京規約) Asia Pacific Regional Convention on the Recognition of Qualifications in Higher Education (Tokyo Convention)

アジア太平洋地域の高等教育機関が、相互に高等教育資格を承認及び評定する枠組みを持つことにより、域内の学生及び研究者の流動性を高めることを目的としたユネスコの規約。2011年 11月に東京で開催された国際会議で採択されたため、東京規約と呼ばれる。締約国には、主として自国の高等教育に関する情報を発信する国内情報センター(NIC)の設立が求められる。日本政府は2017年 12月に 同規約を締結、 2018年2月に同規約が発効した。2019年9月、同規約に基づく日本公式の NIC として、「高等教育資格承認情報センター(NIC Japan)」が設置され、 高等教育資格の円滑な承認に資する情報を提供している。2022年2月2日現在、締約国はオーストラリア、中国、ニュージーランド、日本、韓国、バチカン、モンゴル、トルコ 、フィジー 、ロシア、アフガニスタン 、アルメニア の 12か国(締約順)である。

高等教育資格承認情報センター
 
 
 

インストラクショナルデザイン

35.メーガーの3つの質問 Mager's Three Questions

インストラクショナルデザイン(Instructional Design: ID)において、授業設計を行う場合に頻繁に参照される以下の3つの質問があり、それらは教育工学研究者であるロバート・メーガー(Robert F. Mager)が指摘したことから、メーがーの三つの質問と呼ばれる。これらは授業計画時に自らの考えをより明確にするためのヒントとなる。


Where am I going? (どこへ行くのか?)

How do I know when I get there? (たどりついたかどうかをどうやって知るのか?)

How do I get there? (どうやってそこへ行くのか?)


➀はその授業または科目で達成するべき学習目標を明確にするための問いである。➁はその目標が達成されたかどうかを知るための評価する方法は何であるかを問うものである。➂は目標と評価方法が定まった後、ではどのようにその目標を達成するか、その(教授)手段を問ものとなっている。IDではこの➀→➁→➂という流れで考えることを基本としている。この発想は、目標から逆算して授業を考える、いわゆる「逆向き設計」と呼ばれるものと同じであり、また、少し文脈が異なるが、SDGsのバックキャスティング(未来の姿から逆算して、実行すべき施策を考える)とも近い考えである。国際教育は単発の授業/セッションから、科目、ワークショップ、インターンシップ、プロジェクトなど多様な形で展開されるが、これらの質問を常に意識した教育設計を行うことで、効果的な学習経験を生み出すことができるだろう。

鈴木克明(1995)『放送利用からの授業デザイナー入門〜若い先生へのメッセージ〜』財団法人 日本放送教育協会 第8章 授業デザイナーとしての教師の力量
 

36.ガニェの学習成果の五分類 Gagne's Five Learning Outcomes

学習心理学者のロバート・M・ガニェ(Robert M. Gagne)が考案した、学習成果の体系的な分類法。この分類にもとづいて、授業や研修の目標を考えることで、どのような目標を設定するべきか、また、目標が達成されたかをどうやって測定・評価するべきかを明確にすることができる。5つの分類とは➀言語情報(歴史的事実など記憶するタイプの知識)、➁知的技能(計算方法など規則を応用する技能)、➂認知的方略(効果的な学び方の方法)、➃態度、➄運動技能、である。例えば、学習者にある特定の知識(例えば、ある国のビジネス文化についての情報)を覚えさせるための教授と評価のあり方、ある特定の知的技能(例えば、国際ビジネス場面における効果的な交渉方法)を身につけさせるための教授と評価のあり方はかなり異なるはずである。具体例を挙げるならば、言語情報は、定着するかどうかが問題であるため、教える際には関連事項をまとめて提示するなどの工夫をとることで記憶を促進できる。また、その評価は空欄穴埋めテストなど、(記憶の中の)情報の再生を伴う方法で実施できる。知的技能は、規則の学習と関わりが深いため、もし規則が複雑な場合は、学習者に下位規則に一つずつ習熟させていくという手段をとることができる。また、評価については、規則をしっかりと理解しているのであれば、未知の例にも適用できるはずであるため、練習時には使っていない、新しい例を用いて、当該規則の適用ができるかどうかを評価することができる。このように、ガニェの学習成果の五分類は教授目標と評価の明確化を助け、それにもとづいた教授方法のあり方についても、有益な情報を与えてくれる。学習成果(アウトカム)の評価の重要性が叫ばれる国際教育においてもこのモデルは非常に有用である。

鈴木克明(1995)『放送利用からの授業デザイナー入門〜若い先生へのメッセージ〜』財団法人 日本放送教育協会 第3章 授業のねらいを分類する枠組み
 

37.ケラーのARCS(アークス)モデル Keller’s ARCS Model

アメリカの教育工学者ジョン・M・ケラー(John M. Keller)が、動機づけに関する多くの知見を統合し、学習意欲を、➀注意(Attention)、➁関連性(Relevance)、➂自信(Confidence)、➃満足感(Satisfaction)の四つの側面から捉えたモデルである。授業等の魅力を高める工夫を考えるために、実践者向けに使いやすい形にまとめられた有用な枠組みである。例えば➁の注意のカテゴリーに含まれる教授ストラテジーの一つに、 「探求心の喚起」(Inquiry Arousal)があるが、それをふまえた方策として、授業の冒頭で授業内容と関わる問いを投げかける、または、授業で説明する概念を示す事例を提示して、学習者が自然とそれについて知りたくなるように仕向けることなどが考えられる。授業実施に臨む前に、ARCSモデルで動機づけを高める工夫がもっとできないかを検討したり、学習者のモチベーションが低い時にどのような工夫ができるかを考える上で大きな助けとなる心強いモデルである。

鈴木克明(1995)『放送利用からの授業デザイナー入門〜若い先生へのメッセージ〜』財団法人 日本放送教育協会 第5章 授業の魅力を高める作戦 〜ARCSモデルに学ぶ(1)〜