AGxKANSAI 2022 Art and Philosophy in the 22nd Century After ARAKAWA+GINS

会期: 2022年3月11 - 15日 会場: 京都芸術大学(対面+オンライン)

開会の辞
対談(対面)1(J/E)
メタバース──22世紀に架ける橋

池上高志
小林康夫
*対面、日英通訳つき

荒川修作とマドリン・ギンズが目指したもの、それは現在に出現しうる極楽浄土だと思う。極楽浄土は、畢竟、人のこころの問題である。荒川のすごさは、それを科学技術の極限として実現するところにある。科学が創り出す技術の上にたちあがる極楽浄土。それがメタバースではないか。これまでの科学は、いかに人の主観性から離れたところに法則性と普遍性を見出し、記述するかであった。しかし、22世紀に向けて展開されるのは、こころの科学であり、主観性の科学である。フッサールの現象学、ベイトソンのこころの生態学を具現化する科学の成立である。21世紀の今日、脳をハードウェアとして分かる(神経結合ネットワークを調べる)か、ソフトウェアとして分かる(心理学を発展させる)か、その2つしか方法がなかった。22世紀に向けて、われわれはMindwareともよぶべきものを発展させる。そのひとつの表れが、メタバースである。荒川とギンズの実現しなかった作品をメタバース上で再構成することにより、荒川哲学の未来を議論したいと思う。

池上高志
研究テーマは複雑系と人工生命。東京大学で物理学の博士号を取得。現在、東京大学総合文化研究科教授。研究テーマは、複雑系と人工生命。成果の一部は『動く生命』(青土社、2007年)、『人間と機械のあいだ』(講談社、2016年)に掲載されている。また、2005年よりアート活動も行っており、「Filmachine」(渋谷慶一郎との共作、YCAM、2006)、「Mind Time Machine」(YCAM、2010)、「Long Good bye」(新津保建秀との共作、日本Alps芸術祭、2017)、「Offloaded Agency(Barbican、London, 2019)」などの作品を発表している。

小林康夫
東京大学名誉教授(表象文化論・現代哲学)。荒川修作との7本の対談をまとめた『幽霊の真理』(水声社、2015年)、荒川修作も登場する「オペラ戦後文化論2」(『日常非常、迷宮の時代1970-1995』(未来社、2020年)などの著作がある。

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