AGxKANSAI 2022 Art and Philosophy in the 22nd Century After ARAKAWA+GINS

会期: 2022年3月11 - 15日 会場: 京都芸術大学(対面+オンライン)

講演(オンライン)2(E/J)
いまここのバイオトポロジー的職人技

レンスケ・マリア・ファン・ダム *日英通訳つき

天命反転のアーティストおよび詩人−哲学者である荒川修作とマドリン・ギンズは、死ぬことが法律違反とされる建築的生を構築している。構築された環境に焦点を当てることで、彼らは近代建築の概念を覆すだけでなく、より具体的には、生の哲学における建築的転回を導入したのである。彼らは「バイオトポロジー」によってひとつの哲学兼建築を提出した。そこでは、一方向の進行ベクトルが360度に空間化されることによって、遍在する意味のエネルギッシュな生が強調されるのである。
荒川+ギンズの日本−性に関する初期の知見から出発し、そして「バイオトポロジー」概念を反復して、本発表では荒川とギンズの手続き的建築に続く建築へのアプローチとして「バイオトポロジー的職人技」を導入する。バイオトポロジーとはもっぱら科学——場所化された意識としての知の領域——である。しかし、概念を建築へと転用することで、バイオトポロジーは、社会的、環境的な運動する身体を、建築的な介入によって調和させ、活性化し、状況化する調整のための技法となる。バイオトポロジーと同様、こうした空間的なハビトゥスは、個別の対象から離れて、特定の相互関係の事例に焦点を向けなおす。それは、木工の職人技ではなく、生−場所−学(bio-topo-logical)的な同調の職人技である。社会的−環境的劣化がわれわれの主な関心事である世界において、バイオトポロジー的職人技は、建築の実践、研究、教育に対して、生命を肯定し、生気と共感をもたらすアプローチを促進するものである。別言すれば、それは、いまここにある生き生きとした今後の生(after-life)を提示するものである。

レンスケ・マリア・ファン・ダムは建築家、芸術家、学者。その作品は、微細な知覚を利用して、経験と行動に関するオルタナティブな世界を切り開いている。彼女は、建造環境を理解し構築する方法の根本的な変化、すなわち、オブジェクトの建築から相互性の建築へと移行することを求めている。アジアと西洋の実践の相互交換が、彼女の作品と思考を深く形作っている。彼女の作品の背景には、舞台パフォーマー、動物園飼育係、ヨガ実践家としてのアマチュア活動、ならびにアムステルダムの建築スタジオHerman Hertzberger(2008-2009、オランダ)や北京のアトリエLi Xiaodong(2011、中国)での専門職勤務がある。彼女は、ブリュッセル/ゲント(ベルギー)のカトリック・ルーヴェン大学ラディカル・マテリアリティ研究グループで行われた実践ベース研究において博士号を取得している。彼女の作品は、学術界内外で国際的に支援、展示、出版されている。

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