Program for EU-Japanology Education and Research(PEJER)
京都模擬フィールドワーク「京都に公家文化を訪ねて」 
 
 
 

日時: 平成20年3月13日(木)~平成20年3月14日(金)
担当教員: 田中 登(文学部国語国文学専修・教授、実施責任者)
       大島 薫(文学部国語国文学専修・教授)
       フィールドワーク実施補助同行員
       殿本 佳美(関西大学EU-日本学教育研究プログラム 事業推進支援スタッフ)

参加者:17名(在籍者、次年度入学者)
行程: 3/13(木)
 12:00関西大学集合-14:00冷泉家住宅見学-15:00京都御所見学-16:00京都文化博物館見学-17:00宿舎へ移動

     3/14(金)
 10:00京都における出版文化を辿る巡検-14:00陽明文庫(近衛家)見学-16:00大学へ移動-18:00解散

実施報告(1日目)
 現在の京都御所と今出川通を挟んで北に位置する冷泉家は、平安・鎌倉時代の歌人藤原俊成・定家を祖として現在まで約800年続く「歌の家」であり、その住宅は現存する唯一の公家住宅として重要文化財に登録されています。今回の模擬フィールドワークでは、歴史的な観点から解説していただきながら冷泉家住宅を見学することができました。また、冷泉家に伝わる藤原定家筆古今和歌集(国宝)を始めとする典籍や古文書は敷地内の御文庫と新御文庫に収められており、外観を見学しました。実施責任者である田中登先生は冷泉家時雨亭叢書の刊行に際して長年調査研究に携わってこられ、そのご縁によって通常では見ることができない冷泉家住宅の見学が実現しました。
続く京都御所では35分の短縮コースを利用して新車寄、紫宸殿(承明門より)、小御所、御常御殿、御池庭などの見学をしました。現在の御所は里内裏のひとつであった東洞院土御門殿が、1331年(元弘元年)の光厳天皇即位以来御所となったもので、建物は江戸時代の安政年間に造営されたものです。しかしその様式は平安朝の古制を復活させたもので、古の宮廷の様子をうかがい知ることができました。
京都文化博物館は大規模な模型を用いた展示が特徴的で、京都のさまざまな歴史や文化を視覚的に体感することができました。また、建物の一部は赤レンガ造りの旧日本銀行京都支店(重要文化財)となっており、明治時代の近代建築にふれる良い機会となりました。

実施報告(2日目)
 午前中は宿舎に程近い鳩居堂を始めとする寺町界隈の古書店を、田中教授に解説いただきながら巡りました。その後は祇園や白川沿いの花街や錦小路などを各自の研究テーマに沿って巡検し、その成果をレポートにまとめました。
午後に訪ねた陽明文庫は、平安時代の五摂家の筆頭である北家の嫡流である近衛家の典籍や古文書などを集めた京都市右京区宇多野にある文庫で、御堂関白記(国宝)を始めとした貴重な典籍を所蔵している。今回の模擬フィールドワークでは文庫長の名和修氏に解説していただきながら、展示台のガラス戸を開けて藤原道長自筆の御堂関白記を間近に見るという貴重な体験ができました。その他にも陽明文庫本源氏物語や絵巻や掛け軸に仕立てられた和歌懐紙などの展示物があり、参加者は名和先生に次々と質問をしながら作品への理解を深めました。
今回の京都模擬フィールドワークでは現存する唯一の公家住宅である冷泉家住宅で公家文化の一端を垣間見ることができ、また陽明文庫では普段ガラス越しにしか目にすることができない資料を間近に見ることができました。詳しい解説とともに貴重な文化財にふれられたことは、今後「EU-日本学」を研究する参加者にとってたいへん有意義な体験になったことと思います。


  
 
 
 
大学院教育改革支援プログラム 関西大学EU―日本学教育研究プログラム