Program for EU-Japanology Education and Research(PEJER)
テレビ会議(ドイツ・デュッセルドルフ大学)
 
 
 

日時: 平成22年01月18日(月)17:15-18:30
場所:関西大学 総合研究室棟2階 オープンスペース

Ⅰ. 関西大学の発表(17:15-17:30)

17:15-17:30
発表者:福庭 万里子(関西大学大学院修士1年)
テーマ:琉球(沖縄)の洗骨改葬~日本における葬送儀礼の一つとして~
17:30-17:50
  関西大学側からの進行による質疑応答

発表内容詳細:
前々回のテレビ会議で、関西大学から「武士の切腹」について、デュッセルドルフ大学から「老人の終末」について発表されたことから、日本とドイツそれぞれにおける「死」に関する討論がおこなわれてきました。さらに前回は、映画「おくりびと」をテーマとすることによって、ドイツ・日本それぞれの葬式の方法や遺体との接し方へと、議論が展開していきました。
葬法(そうほう)すなわち遺体の処置方法は、人々が所属する国や地域それぞれによって異なります。人類は、多種多様で多彩な葬送をおこなっています。この多様さは、人々が所属する文化・宗教・政治・社会情勢などの違いによってうまれます。このことから、遺体の処置方法や葬送の儀礼は、それをおこなう人々が「死」をどのように捉えているかを形として表すものであるということができます。
さて、現在の日本において主流の葬送は、映画「おくりびと」で表現されたような方法です。埋葬方法としては、現代では火葬が主流となりましたが、古代~近代にかけて土葬が多かったことは、前回のテレビ会議で関西大学から多田さんが発表された通りです。しかし、日本の中でも沖縄本島をはじめとした南西諸島地域では、全く異なる葬送が発達しました。
今回は、日本の中でも沖縄の葬送儀礼において古くからの慣習であった「洗骨(せんこつ)」について発表します。先にも述べたように、葬送儀礼は人々が所属する集団によって異なりますが、沖縄においてみられた儀礼は日本の中でも特徴的なものであり、沖縄をはじめ南西諸島地域が日本の他地域とは画一した独自の文化を持っていたことを表すものです。
18日のテレビ会議では、短い時間となりますが、主に以下の項目について発表したいと考えています。

①「洗骨」と「改葬(かいそう)」について

洗骨とは、一度、埋葬(土葬もしくは風葬)した遺体が朽ちるのを待ち、再び取り出して、骨を洗い清めることをいいます。この洗骨された遺骨は、骨壷(こつつぼ)に移し替えられて再び墓へと戻されます。
改葬とは、一度埋葬した遺体を、数年経過した後に取り出し、新たな墓へ埋葬し直すことです。特に、遺体を取り出した際、洗骨をおこなってから新たな墓へ埋葬し直すことを「洗骨改葬」といいます。

②日本における「洗骨」の起源と展開、地域的な広がりについて
日本において洗骨改葬の事例が最も多いのは、沖縄本島を中心とした南西諸島地域です。
同様の洗骨風習は、中国や朝鮮半島などでもみられ、共通性が考えられます。沖縄における洗骨改葬の具体的な手順や時期について説明します。また、沖縄における洗骨改葬とは少々異なりますが、日本本土においても考古学資料からいくつか改葬の例は確認できます。「洗骨」または「改葬」という風習が最も主流であった時期の事例について紹介します。 
現在、火葬が法律とともに整備されて以降、洗骨改葬は途絶えつつありますが、一部には残るようです。

③日本本土と沖縄の葬送の違い

 沖縄には、日本本土ではあまりみられない洗骨の風習が主流としてあったわけですが、墓の形、葬式の方法でも日本本土の一般的な習慣とは大きく異なります。日本の中でも、地域の宗教観によって葬送儀礼が大きく異なるという例として、この違いについて紹介します。

以上のように、日本の中での特定の地域において盛んであった葬送儀礼について発表をおこないます。東アジア・東南アジアの一部の地域において主流であった「洗骨」という葬送儀礼について、ドイツの皆さんに少しでも知っていただくとともに、現代の葬送や「死」に関する議論をさらに深めていくことができれば幸いです。

TV会議の様子 TV会議の様子  TV会議の様子


Ⅱ.デュッセルドルフ大学の発表(17:50-18:05)

17:50-18:05
発表者:Sabrina Fiebich(デュッセルドルフ大学)
テーマ:日本の共生ケア施設について
18:05-18:25
   デュッセルドルフ大学側からの進行による質疑応答

発表内容報告
サブリナ・フィービヒさんからは日本の共生ケア施設「富山型」について発表していただきました。「富山型」とは、子育てと老人ケアを両立させる施設で、ドイツではまだこのような施設はありません。ドイツでフィービヒさんはこの「富山型」を日本的なケアであるととらえ、ドイツのケア施設との違いについて述べていただきました。併せて、受講生からもドイツの老人ケアの現状について活発に質問があがり、ディスカッションが行われました。

18:25-18:30
   まとめ
   次回のTV会議について

  TV会議の様子 TV会議の様子 TV会議の様子

特別ゲスト
チェコのカレル大学教授ヤン・シーコラ先生が今回のテレビ会議に参加してくださいました。

  ヤン・シーコラ先生

 


  


 

 


 
 
 
 
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