KANSAI UNIVERSITY

研究室紹介

研究室概要

当研究室では、1958年の機械工学科開設以来、一貫して精密加工に関する研究を行ってきました。近年では、µm/nmスケール加工時の機械的・物理的および化学的現象の解明、ならびに圧電振動を利用したデバイス開発に取り組んでいます。

外部資金プロジェクト

学びのスタイル「メカノケミカル砥石による光学ガラスの超仕上」

新開発された砥石の特性を知り、 ナノレベルの加工精度に挑戦しています。

「メカノケミカル砥石による光学ガラスの超仕上」という研究テーマに取り組んでいます。メカノケミカル砥石は、ダイヤモンド砥粒による機械的除去作用に加え、セリア砥粒が引き起こす化学反応によってガラスを磨くことができる特殊な砥石。この砥石を使えば、コンパクトな装置で、従来のダイヤモンド砥石よりもきれいに仕上げができます。一方、砥石を使わず遊離砥粒を用いたポリシングに比べると、研磨の精度がやや悪くなってしまいますが、仕上げ速度は大幅に向上します。また砥石と水だけで研磨できるため、環境に負荷をかける廃液を出さないというメリットもあります。私は、数ナノメートルという高い精度が求められる光学ガラスの仕上げにメカノケミカル砥石が広く使われるように、実験によって砥石の特性を詳しく調べています。現在、世界各地で次世代超大型天体望遠鏡の開発が進められています。直径1.45メートルほどの六角形の鏡を約500枚組み合わせて作成される主鏡の仕上げには、非常に精密な加工技術が求められていますが、メカノケミカル砥石による超仕上は、数年後に主鏡の仕上げ技術として採用される可能性も十分にあります。「次世代超大型天体望遠鏡を支える技術として生かされるかもしれない」と思うと、毎日の研究にも自然に熱が入ります。

加工学を中心に、 超精密微細な生産技術を追究しています。

山口 智実 教授

加工技術は今日では、原子レベルの現象を研究対象とします。そのため、加工学のみならず、化学、原子物理学などの高度な知見と、装置や機器に関する専門的な知識が要求されるようになりました。生産加工システム研究室では、オリジナル性の高いさまざまな研究を進めていますが、なかでも光学ガラスの超平滑な研磨加工技術は最先端技術の一つとして注目を集めており、研究の進展が楽しみです。

※この学びのスタイルは2010年度のものです。

学びのスタイル「超精密ダイヤモンド切削における工具摩耗抑制」

ナノレベルに研ぎ澄まされた ダイヤモンド工具の摩耗抑制に挑んでいます。

ダイヤモンドの切削工具は、髪の毛1本の百分の1以下という超精密な形状に金属を加工する時には欠かせない道具です。しかし、金型などに利用される鋼を削っていくとダイヤモンドがすりへり、思い通りの精度で加工できなくなってしまいます。ダイヤモンドは炭素からできているので、炭素と結びつきやすい結晶構造を持つ金属を削ると、少しずつすりへってしまうのです。そこで私は、金属に表面処理を施し、削る面だけを別の結晶構造にすることでダイヤモンドの摩耗を抑える研究を行っています。3年次で取り組み始めてから3年間、表面処理としていくつかの方法を試みながら実験を重ね、今では処理をしないで鋼を削ったときに比べ、摩耗を抑えられるようになりました。ミクロなレベルでの実験なので、削っている瞬間を肉眼で見ることはできません。その様子を頭のなかで想像しつつ、結果を顕微鏡で確かめながら、研究を少しずつ前に進めています。今後は、これまでに蓄積してきた知識を生かし、非球面レンズの製造に使われる超精密金型の開発にも挑戦してみたいと考えています。

超精密加工は、ものづくりの可能性を広げる技術。 社会からの期待が高まっています。

古城 直道 准教授

ダイヤモンド切削技術の改良のほか、超微細な砥石やナノメートルスケール加工機械などによる超精密な加工に取り組む研究室です。機械工学をベースに、表面処理など化学の知識も採り入れ柔軟に研究を行っています。超精密加工は日本の工作機械メーカーが得意とする分野で、企業からの注目度も高い研究です。卒業生の多くもこの研究室での学びを生かした企業で活躍しています。

※この学びのスタイルは2013年度のものです。


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