日本描画テスト・描画療法学会第28回大会

開催案内

日時

2018年8月25日(土)
ワークショップ・認定描画療法士研修会・懇親会
2018年8月26日(日)
研究発表・事例検討・特別講演・シンポジウム

会場

〒564-8680 大阪府吹田市山手町3丁目3番35号
関西大学 千里山キャンパス 第1学舎1号館

大会運営

日本描画テスト・描画療法学会第28回大会運営委員会
〒564-8680 大阪府吹田市山手町3丁目3番35号
関西大学 総合研究室棟香川研究室気付
E-mail: byoga28osaka@yahoo.co.jp ※@を半角に置き換えてください。

日程

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日程

プログラム

認定描画療法士資格認定研修会:基礎コース(NK)、応用実践コース(NO)/ワークショップ(W)

8月25日(土) 午前

【認定描画療法士研修会 基礎コース(NK①②)】

NK① 10:00~11:00 描画による支援の基礎と職業倫理
松下 博(神奈川県スクールカウンセラー)

描画による支援を実際に行うためには、描画技法を充分理解し実施方法を学び対象者に実施する姿勢が必要であり、それは専門家としての倫理でもある。職業倫理は描画に関する研究やあらゆる支援の場において、前提となるものであり、それは社会人として身に着けておくべきものでもある。今回は、この基礎を振り返って学ぶ機会にしたい。

NK② 11:10~12:10 心理アセスメントの基礎
岡田 弘司(関西大学大学院)

心理臨床において心理アセスメントは支援を要する者への援助行為として非常に重要です。心理アセスメントが的確かつ効果的に行えているかどうかによって、カウンセリングなどその他の援助の効果も左右することになるでしょう。この科目では、心理アセスメントがどのような目的のもとで行われ、どのような方法論や技法を用いるのかを概観すると同時に、心理アセスメントを実施する上での心得や注意事項などについて整理します。

【認定描画療法士研修会 応用実践コース(NO①)】※認定描画療法士有資格者のみ。

NO① 10:00~12:00 描画による心理面接の事例検討 ※事例を募集します。
木谷 秀勝(山口大学)

本学会が認める「認定描画療法士」研修の応用・実践コースでは、基礎コースの修了者が、臨床描画法を活用した心理面接・心理アセスメント・研究法(最終的には投稿論文になるまで)に関して専門的知見を高めることを目的としている。
特に、本科目では臨床描画を活用した心理面接の事例検討を通して、関与しながらの観察、言語化作業、面接者自身の「クセ」に焦点化していく。
したがって、数回の面接から長期間の面接事例までを、複数の参加者に事例提供をお願いしたい。

【ワークショップ(W1~4)】

W1 10:00~12:30 HTPPテスト
高橋 依子(大阪樟蔭女子大学)

描画テストは言葉で表現できない心の内面が理解できるので、心理支援を要する人のパーソナリティを理解して、必要な援助を行うために、心理臨床場面でよく用いられる。描画テストの中に、家、木、人を課題として、多面的に人を理解しようとするHTPPテストがある。4枚法によるHTPPテストについて、標準的な実施法と基礎的な解釈法を、実例を示しながら解説したい。また、フィードバックの方法についても検討していきたい。

W2 10:00~12:30 関係作りの描画法入門
馬場 史津(中京大学)

描画法には「描画テスト」と「描画療法」の二つの側面があります。「描画テスト」は作品から描き手のパーソナリティを理解することに重点があります。一方で「描画療法」の技法の中には、描画を通じてそっと寄り添ったり、ちょっと困らせたり、遊びの中で描き手と援助者が関係を始めることを目的とするものがあります。今回のWSでは交互色彩分割法の実習を通じて、援助者・描き手双方の心の動きに焦点をあて、描画法を通した関係づくりを体験してみたいと思います。

W3 10:00~12:30 風景構成法
宮木 ゆり子(カウンセリングルームさいのみや)

今回は風景構成法の魅力についてお話します。まず体験していただき、そのあとで施行法や留意点などアセスメントとしての側面についてお話し、その上で実際にどのように用いたかを見ていただきます。次に印象深かった風景画や縦断的に用いた風景画を時間の許す限り見ていただき、風景構成法がなぜ治療的であるか、そしてその可能性についてもお伝え出来たらと考えています。【ご参加される方はマジックと色鉛筆をご持参ください。】

W4 10:00~12:30 精神科臨床における描画テストの活用
吉川 征延(阪南病院)

精神科臨床では、治療に必要な患者の病態、心理、機能、背景などを理解するために心理検査が用いられる。なかでも描画テストは、子どもから高齢者まで幅広い年齢層、さまざまな疾患の患者理解に有用である。また描画テストは、得られる情報が多いだけでなく、多職種連携においても役に立つ。描画を見つつ多職種とコミュニケーションを取ることは、言葉だけのやり取りでは得られない情報共有が可能となる。本ワークショップでは、筆者が精神科臨床で用いている描画テスト(HTPPテスト)を紹介し、描画を用いた多職種連携について考える。

8月25日(土) 午後

【認定描画療法士研修会 基礎コース(NK③④⑤)】

NK③ 13:20~14:20 心理面接の基礎
片山 はるみ(浜松医科大学)

心理面接とは、心理的な困難を解決しようとしている相談者とそれを支援する者との関係性の進展と終結の過程で、主に相談者の自己洞察と自己成長を促すための心理的空間であり、支援をする者の理論や技法に基づいた行為のことを意味します。この研修では、最も基本となる「傾聴」についてあらためて考え、自らの態度や技術を振り返る機会としたいと思います。

NK④ 14:30~15:30 描画による心理アセスメントの基礎
香川 香(関西大学大学院)

描画テストは、絵という非言語的媒体を用いて、言葉では十分にあらわせない心の状態をとらえることができる貴重なツールです。臨床現場において、描画テストを活用して的確な心理アセスメントを行うためには、描画テストの適用範囲や、実施法、解釈法について習熟している必要があります。本講義では、描画テストの概要と実施および解釈における留意点について解説し、心理アセスメントにおいて描画テストを活用する意義を検討したいと思います。

NK⑤ 15:40~16:40 描画による心理面接の基礎
鈴江 毅(静岡大学)

描画による心理面接とは、描画を用いて心理療法(セラピー)を行うことを指しています。しかしながら描画テストと描画療法は、はっきり分かれるものではなく、一体となって行われ、効果をあげるものだと考えています。今回は、入門編の一部として描画療法について概観した後、具体的な描画療法の導入・進め方、描画テストとの関係、非言語的コミュニケーションとしての描画、実施の際の留意点、などについて解説したいと考えています。

【認定描画療法士研修会 応用実践コース(NO②③)】※認定描画療法士有資格者のみ。

NO② 13:30~15:30 描画による心理アセスメントの事例検討 ※事例を募集します。
岡田 弘司(関西大学大学院)

本科目では認定描画療法士資格取得者を対象にHTPP(HTP)テストや家族画テスト(FDT)などの描画テストを用いた心理アセスメントに関する事例検討を行います。面接、行動観察、その他の心理テストの情報や結果も踏まえながら、描画テストを用いた心理アセスメントの解釈についてスキルアップをはかりたいと考えます。また、心理アセスメントの結果をカウンセリングなどの援助にどのように活かすのかについても検討したいと思います。【参加者の方に描画テストを用いた事例提供をお願いします。

NO③ 15:40~16:40 描画による研究法
牧瀬 英幹(中部大学)

臨床描画を対象として研究を進めていくためには、その研究方法の如何に関わらず、まずそれをどのように捉えるかが問われることになるだろう。この時、描かれたものをただ「みる」だけでなく、「きく」こと、さらには「よむ」ことが求められると考える。本研修では、描画研究の前提となる、描画を「みる」こと、「きく」こと、「よむ」こととは何かについて、臨床例を提示しながら明らかにするとともに、新たな描画研究の可能性を模索してみたい。

【ワークショップ(W5~W8)】

W5 14:00~16:30 なぐり描き法(スクイグル法・スクリブル法・MSSM・MP法)を通して、こころの奥を探る
伊藤 俊樹(神戸大学)

なぐり描きの技法には、Naumburgのscribble法、Winnicottのsquiggle法、山中のMSSM(Mutual Squiggle Story Making)法、私のMP(Mess Painting)法といくつもの技法があります。このワークショップでは、各技法について紹介するとともに、参加者の方にも1,2の技法をペアになってロールプレイしてもらいます。その後で、実際の事例を紹介して、なぐり描き法の実際の臨床場面での適応の可能性を探りたいと思います。

W6 14:00~16:30 フォーカシング指向アートセラピー
池見 陽(関西大学大学院)

フォーカシングとアートセラピーについて、次のワークを行いながら馴染んでいきましょう:Conversation Drawing; 体験過程流コラージュワーク (ECW); Journaling。Conversation Drawing と Journaling は Dr. Laury Rappaport がFocusing-Oriented Art Therapyの中で考案し、ECWは Dr. Akira Ikemi が考案されたものですが、これらのワークには共通した体験過程的基盤があります。それは制作された作品よりも、制作過程や意味創造過程が重要視される点です。二人の合作である、『アート表現のこころ』(池見・ラパポート・三宅2012)に詳細が紹介されています。

W7 14:00~16:30 動的家族画と動的学校画~理論から臨床まで~
橋本 秀美(大阪樟蔭女子大学)

バーンズとカウフマン(1970,1972)により、静的な人物画や家族画に動的要素を加味した動的家族画(KFD)が確立された後、ノフとプラウト(1985)が、動的家族画に動的学校画(KSD)をシステムとして用いる、動的家族・学校描画システム法を開発した。これらの描画法は、自分自身のことや家族や学校の問題を語ることが難しい学校臨床だけでなく、成人の臨床でも有用に活用される。本WSでは、KFDとKSDの技法及び様々な分析指標を提供し、さらに、これまでの臨床事例で用いられた様々な描画法を紹介し、情報提供を行いたい。時間の許す限り、受講者の皆様と一緒に、様々な事例で用いられた描画を味わい検討したい。

W8 14:00~16:30 高齢者(認知症)への描画の活用
小海 宏之(花園大学)

わが国は超高齢化社会を迎え、それにともなう認知症高齢者の増加が社会問題になりつつあり、とくに認知症高齢者に対する適切なケアを行うためには、詳細で正確な心理アセスメントを行うことが重要となる。そこで、高齢者とくに認知症者への描画の活用について、神経心理学的アセスメントおよび臨床心理学的アセスメントの双方を俯瞰して概説し、随時、各検査を体験してもらいながら、脳機能を含めた解釈法について考える機会としたい。

  • 認定描画療法士研修会基礎コース(NK)は認定描画療法士資格認定のための研修会ですが、どなたも好きなNKとWを自由に組み合わせることができます。ただし資格取得を希望される方は、必ずNK①~NK⑤を受講してください。
  • 応用実践コース(NO)は、日本描画テスト・描画療法学会が認定する「認定描画療法士」の有資格者のみが参加可能です。応用実践コース(NO①および②)では事例を募集します。お申込みの際に「描画による心理面接の事例提供希望」または「描画による心理アセスメントの事例提供希望」と記載して、E-mailまたは郵送にて大会運営委員会にご連絡ください。

研究発表・事例検討

8月26日(日) 9:30~12:00

研究発表は、1演題につき質疑応答を含めて30分の予定です。
事例検討では助言者をつけて、1演題につき質疑・討議を含めて60分の予定です。

特別講演

8月26日(日) 13:50~14:50

描画テストのさらなる発展に向けた質的分析の構造化  -投映法の解釈技術を次代へつなぐ-
講師 寺嶋 繁典(関西大学大学院)
司会 足利 学(藍野大学)

エビデンスに基づく心理支援が求められる昨今、描画テストなどの投映法を臨床場面で適切に用いるためには、量的分析による評価が必須である。しかし、投映法のなかには量的分析に馴染みにくい検査や、質的分析を適正に行うことで多彩な情報を得られる検査も少なくない。質的分析の方法を一定にすること、すなわち構造化することは検査結果の信憑性の向上に寄与することが期待される。当日は主要な投映法における構造化された質的分析の方法を紹介し、質的分析の次世代への継承について述べる。

シンポジウム

8月26日(日) 15:00~17:00
テーマ
「これからの描画」
話題提供者
「描画テストのこれから」 川端 康雄(大阪医科大学)
「描画療法のこれから」 寺沢 英理子(広島国際大学大学院)
「描画の研究の現在と未来」 生地 新(北里大学大学院医療系研究科)
指定討論
高橋 依子(大阪樟蔭女子大学)
司 会
香川 香(関西大学大学院)
描画テストのこれから
川端 康雄(大阪医科大学)

わが国における心理テストの使用頻度に関する調査研究では、描画テストの使用頻度はとても高く、過去20年において大きな変化はない。ただ、近年、医療領域では検査としての実証性や再現性が重視されるようになっており、今後、描画テストも大きなパラダイムシフトを迎えることが予測される。当日は、描画テストにおける「根拠に基づく実践(Evidence-Based Practice:EBP)」の可能性について再考する機会としたい。

描画療法のこれから
寺沢 英理子(広島国際大学大学院)

時代によってクライエント像は変わり、診断名や診断基準も変更が重ねられている。また、表現方法や表現ツールも進化しており、それらをどのように使いこなすのかということは避けて通れない課題である。しかし、同じ診断名を持つクライエントでも印象は画一的ではなく、また同じ表現ツールを用いてもやはり表現は一人一人違う。
今回のシンポジウムでは、時代の変化という視点から人間を捉えながら、描画療法の可能性についてもう一度考えてみたい。

描画の研究の現在と未来
生地 新(北里大学大学院医療系研究科)

壮大なテーマに私は困惑している。私は、描画を介して人がいかに出会い交流するかに関心がある。交流が生まれた時の感動を私たちは知っている。書きながら、ひらめいたのだが、アセスメントでもセラピーでも、描画を介した交流こそが重要なのではないだろうか。量的研究も質的研究も、実験的研究でも臨床研究でも、交流という視点を取り入れることで新しい展開が生まれるかもしれない。描画の研究では客観的事実の記述も大切だが、主観的交流に焦点をあてることも重要だと思うのである。

大会運営委員会
関西大学 総合研究室棟香川研究室気付
〒564-8680 大阪府吹田市山手町3丁目3番35号
E-mail: byoga28osaka@yahoo.co.jp ※@を半角に置き換えてください。
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