KANSAI UNIVERSITY

センター長紹介

ogawa経済実験センター長
小川 一仁

 関西大学経済実験センター長の小川一仁(社会学部教授)です。私は2002年から2005年まで日本学術振興会特別研究員として仲介業者の意思決定に関する実験経済学的研究に従事し、その業績をもとに博士(経済学)を京都大学大学院経済学研究科から授与されました。その後も寄付に関する実験研究や人々の協力に関する実験研究で研究業績を積んでおります。
 キャリアとしては広島市立大学国際学部、大阪産業大学経済学部での勤務の後、関西大学社会学部社会システムデザイン専攻に准教授として着任しました。皆様もお越しになれば実感されるかと思いますが、いかにも大学らしい雰囲気の中、研究と教育にまい進しております。
 さて、私の主たる研究分野は実験経済学と行動経済学です。これら2つの分野では経済理論が予想する結果や、経済理論が成り立つための前提条件は正しいかどうかを検証しております。欧米では約70年の、日本では約20年の歴史を持つ、経済学の中では比較的新しい分野です。ただ、発展は目覚しく、ノーベル経済学賞受賞者を輩出するだけでなく、実社会の改善にも供される大変実用的な研究分野でもあります。さらに近年では実験経済学と脳科学との学際分野として、神経経済学という分野も確立されてきています。
 具体的な研究手法は、実験室のなかで実際の人間に経済に関する意思決定をしてもらったり、アンケート調査で回答者の行動パターンを質問することで、参加者の行動が理論の予想と一致するかどうか検証します。実験室の中の調査では、ほとんどの場合結果に応じて参加者には謝礼が支払われます。
 アンケート調査では定額の謝礼を支払うことが多いですが、実験室内の調査同様に、選択に応じた謝礼の支払いがなされることもあります。
 本研究センターでは、8名の学内研究員と6名の学外研究員、2名のプロジェクト付きポストドクトラル研究員を擁し、(1)社会人・高齢者の経済行動に関するデータの収集と分析、(2)経済実験環境の共同利用拠点化を目指して研究を進めて参ります。(1)については、これまで経済行動に関するデータの収集と分析は、殆どの場合大学生が対象でした。今回のプロジェクトでは経済活動に深く携わっている(携わっていた)社会人と高齢者の方のデータを収集、分析します。これは世界的にも珍しい取り組みです。(2)については研究者のためのプロジェクトとなりますが、日本の実験経済学の一層の発展のために、より容易に実験ができる環境を提供したいと考えております。
皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 センター長に関するより詳しい情報はhttp://www2.itc.kansai-u.ac.jp/~t110032をご覧ください。