大会長挨拶
日本ロールシャッハ学会第26回大会を2022年9月3日(土)・ 4日(日)に関西大学(大阪府吹田市)にて開催することになりました。本大会のテーマは「EBA(Evidence Based Approach)におけるロールシャッハ・テストの活用―投映法のサイエンスとアートの調和―」としたいと考えております。投映法におけるサイエンスとアートの調和につきましては、従前の学会等でも取り上げられてきたテーマです。エビデンスが強く求められる昨今の臨床場面で投映法を適切に活用するためには結果の科学的分析と、臨床経験に裏付けられた質的分析のバランス、すなわちサイエンスとアートの調和をいかに保つのかが、以前にも増して重要な課題になっているように思われます。今後も投映法が心理アセスメントの有用な技法としてあり続けるためには、何を行っていくべきか、何を必要としているのかなどについて改めて考える機会にしたいと思っています。
大会1日目の午前中には、投映法等による心理検査や、心理検査の所見の書き方などに関するワークショップを設定し、午後からは研究発表を予定しています。例年行われてきました懇親会は、大会開催時の新型コロナウイルスの感染状況の予測ができませんので、今大会では懇親会に代えてイブニングセミナーを設定することになりました。関西大学は投映法の草分けのお一人である高橋雅春先生が長きにわたり教鞭を執られた大学です。高橋雅春先生は当初から臨床心理学がサイエンスとアートから成立し、ロールシャッハ・テストはその象徴であるとされておりました。イブニングセミナーの前半は放送大学・筑波大学の小川俊樹先生をお迎えし、「わが国における投映法の歩み」につきましてご講演を賜る予定です。セミナーの後半では高橋雅春先生のご業績などをご紹介しながら投映法の臨床活用や研究のあり方について考えてまいりたいと思います。
大会2日目の午前中は投映法や心理アセスメントなどに関する数々のご著書を著しておられます大阪樟蔭女子大学名誉教授の高橋依子先生に「ロールシャッハ・テストにおけるサイエンスとアート」というテーマで特別講演をお願いし、午後からは明治大学の高瀬由嗣先生に「ヘルマン・ロールシャッハとインクブロット:その歴史と展望」というテーマでの教育講演をお願いしております。最後のシンポジウムでは「EBA(Evidence Based Approach)におけるロールシャッハ・テストの活用―投映法のサイエンスとアートの調和―」のテーマのもとに、大阪医科薬科大学の川端康雄先生と株式会社リヴァの二宮ひとみ先生に話題提供をお願いし、指定討論には本学会長で京都大学の髙橋靖恵先生をお迎えし、私も加わらせていただきながら将来を見据えた投映法の実践的活用や専門教育などについて、皆様とご一緒に考える機会にしたいと思っております。
開催場所の関西大学千里山キャンパスは、JR新大阪駅あるいは大阪伊丹空港から電車やモノレールを利用して、最寄りの阪急関大前駅まで35分ほどの所に位置しております。また大阪の中心部へは電車で約20分、京都へも1時間ほどで行くことができます。
今後、新型コロナウイルスの感染状況によりましては、オンラインでの開催などへの変更を生じる可能性がございます。変更等の生じる場合には本大会のホームページで情報発信を行いますので、ご確認方、宜しくお願い致します。新型コロナウイルス感染症が早期に終息し、皆様方と会場でお目にかかり大会を開催できますことを願いつつ、多くの方々のご参加をスタッフ一同、心からお待ち申し上げております。
日本ロールシャッハ学会第26回大会長 寺嶋繁典