日本ロールシャッハ学会第26回大会

プログラム概要

(1)ワークショップ 9月3日(土)10:00~12:30

A)伊藤宗親(岐阜大学):「認知行動療法に活かすロールシャッハ法」

※事例を募集します
心理アセスメントと心理療法は車の両輪にたとえられますが、これまで、両者を架橋する際には力動論的アプローチを念頭においたものが多かったように思います。今回は、認知行動論的アプローチを試みようとする際に、どのようにロールシャッハ法を活用していくかということを、事例をもとにみなさんと一緒に考えていきたいと思います。なお、ロールシャッハ法の実施システムは問いません。

募集する事例の概要
ロールシャッハを実施し、その後、認知行動論的アプローチを用いて支援している(あるいは支援した)事例。もしくは、ロールシャッハを実施し支援のアプローチとして認知行動療法を考えている事例。

B)小笠原將之(関西福祉科学大学):「精神病理学的視点からのロールシャッハ理解」

※事例を募集します
精神病理は当人の対話性の障碍と密接に関連し、ロールシャッハ・テストの反応には図版に接した被検者が展開する対話性の様態が示される。故に、ロールシャッハ・テストは、被検者の対話性の読み取りを介してこそ、被検者の精神病理の理解につなげることができる。加えて、被検者の対話性の読み取りは、その体験世界の理解や精神・心理臨床的な対応にも有用である。
本ワークショップでは、講義と事例検討を通じて、対話性を軸としたロールシャッハ・テストと精神病理に関する理解について解説する。

募集する事例の概要
解釈の難しい事例(特に、病態水準の判定に迷う事例)のプロトコールを募集する。

C)奥田 亮(大阪樟蔭女子大学):「描画テストの実施・解釈とその体験的基礎-バウムテストを中心に-」

本ワークショップでは、バウムテストを中心とした幾つかの描画テストについて、その描画時における被検者の体験を掘り下げて検討し、そこから解釈と実施の仕方を考える。タイトルの「体験的基礎」というワードは、シャハテルの名著『ロールシャッハ・テストの体験的基礎』から借用した。すなわち、絵を描く中で起こり得る心の働きを捉えることによって、描いた人の内面のありようを理解する視点を提供することが、このワークショップの狙いである。

D)加藤志ほ子(南青山心理相談室)、吉村 聡(上智大学):「投映法を含む心理検査の所見の書き方」

※事例を募集します
心理査定は心理臨床家の仕事の柱の一つである。本ワークショップでは、ロールシャッハ法を中心に、SCTや描画法などの、投映法検査を用いた事例の読み取りと、所見の書き方について考えていく。心理査定の軸となるパーソナリテイ理論は、自我心理学をもとに力動的に考える立場で行う(包括システムによる実施にも対応)。依頼された主治医への報告、被検者本人に伝える工夫、継続面接への足掛かりなど、臨床に役立つ所見のあり方について考えていきたい。

募集する事例の概要
事例には少なくとも、ロールシャッハ法とSCTを含むこと。

E)小海宏之(花園大学):「高齢者のロールシャッハ法-神経心理学的視点も含めて」

わが国は超高齢化社会を迎え、それにともなう認知症高齢者の増加が社会問題になりつつあり、とくに認知症高齢者に対する適切なケアを行うためには、詳細で正確な心理アセスメントを行うことが重要となる。そこで、高齢者とくに認知症者へのロールシャッハ法の活用について、神経心理学的アセスメントおよび臨床心理学的アセスメントの双方を俯瞰して概説し、脳機能を含めた解釈法について考える機会としたい。

F)髙橋 昇(愛知淑徳大学):「投映法と心理療法」

※事例を募集します
投映法は適用範囲が広く、年代や病態水準の別など多くカヴァーすることができる。その目的は、クライエントの内的な世界を深く理解することによって、より良い支援やかかわりに資することである。それらはクライエントとセラピストに相互作用をもたらすものにもなり、投映法と心理療法は連続的なものになる。私たちが投映法を使いこなすことが、どのようにクライエントへの理解を深め、どのようなかかわりの必要性を示唆するかを考えていきたい。

募集する事例の概要
ロールシャッハ法と他の検査結果がある事例がよろしいかと思います。他は描画検査などがあれば良いですが、なければ他の検査でも結構です。事例の年代は思春期から成人期、病態はどのような方でも結構です。

  • A・B・D・Fのコースはそれぞれ事例を募集いたします。
    事例提供を申し込まれる方は、事例概要(書式は任意の形式で結構です)を、6月20日(月)までに、第26回大会準備委員会(jsrpm26@yahoo.co.jp ※@を半角に置き換えてください)へメールにてご提出ください。なお、事例の応募が多数になった場合は、ご担当の講師と相談のうえ、事例を決定いたします。
  • 新型コロナウイルス感染症の感染状況により、本大会がオンラインでの開催に変更される場合には、事例を交えたワークショップを行うことができなくなりますので、内容の変更または中止もあり得ることをご了承ください。

(2)研究発表 9月3日(土)13:30~16:30

(3)イブニングセミナー 9月3日(土)16:40~18:00

テーマ
「わが国における投映法の歩み」
講演者
小川俊樹(放送大学・筑波大学)、他
司会
寺嶋繁典(関西大学)

(4)特別講演 9月4日(日)10:00~11:30

演題
「ロールシャッハ・テストにおけるサイエンスとアート」
講演者
高橋依子(大阪樟蔭女子大学名誉教授)
司会
岡田弘司(関西大学)

(5)理事会 9月4日(日)11:30~13:00

(6)総会 9月4日(日)13:00~13:50

(7)教育講演 9月4日(日)14:00~15:00

演題
「ヘルマン・ロールシャッハとインクブロット:その歴史と展望」
講演者
高瀬由嗣(明治大学)
司会
香川 香(関西大学)

(8)シンポジウム 9月4日(日)15:10~17:10

テーマ
「EBA(Evidence Based Approach)におけるロールシャッハ・テストの活用―投映法のサイエンスとアートの調和―」
話題提供
川端康雄(大阪医科薬科大学)、二宮ひとみ(株式会社リヴァ)
指定討論者
髙橋靖恵(京都大学・油山病院)、寺嶋繁典(関西大学)
司会
岡村香織(藍野花園病院)
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