石川から3回生までの皆さんへ

 おかげさまで2012年、文部科学大臣から研究部門の大臣表彰科学技術賞が小職に授与されました。さらに私達の研究は、2009年、文科省による「政府投資が生み出した成果の調査」で「代表的成果39事例」に選定されています。これは大学や公的研究機関で行われている、科学全分野の千件以上の研究事例から、特に優れており今後の大きな発展が期待される研究、として選定されたものです。いずれも身に余る光栄なことです。在校生と共に、卒業生の皆さん、君たちのおかげです。ありがとう!!  この石川は滅茶苦茶本気です。我々を信じてくれるからこそ、多くの企業が参加してくれていますし、それに応えるべく、関大発のテクノロジーを生み出そうと真剣です。企業はボランティアではありません。研究も求人も、我々が最大限の努力をして初めて道が開けるものです。確かに、結果が全てというのが現実の社会ですが、皆さんは学生ですから結果を出すことにターゲットに置きつつも、その「過程」を確実に学んでもらいたいのです。  ですから、私が最も嫌うのは「いい加減な心構え」「テキトーな行動」です。そのような考えや行動は電気化学研究室には要りません。当研究室に期待してくれている多くの企業、国、大阪府、研究機関に迷惑をかける人は卒業できませんし、卒業の資格もありません。幸いに電気化学研究室は「電気化学をやってみたい」ので志望したという第1希望率が大変高く、電気化学というベースに乗っかって、それぞれのターゲットに向かい各自各様の努力をしています。石川からの助言を得ながらも、自分自身のアイデアを存分に発揮している人も少なくありません。皆さんがどれだけ前向きかという心構えの問題です。  いつも言っていますように、「電気化学」という分野は基本的に「有機化学」「無機化学」といったような物質分類とは違った立場のネーミングであって、有機や高分子が嫌いだから電気化学へ、といった単純なものではありません。実際に我々は「高分子材料」の研究を行っているプロジェクトがありますし、フッ素化学が関連する「有機材料」も重要なテーマにしています。つまり、材料カテゴリーを越えて、「エネルギー貯蔵材料として高性能なら何でも使って研究してやろう」というスタンスをとっています。  「電気化学分野が面白そうだ」という人、電気化学はまだ理解不足だけれども「未来はきっとここにある」と感じて志を持っている人、一緒に研究最前線へ出かけましょう。